Shiraito no taki Shiraito Waterfalls

89日目 上機嫌の富士山と私

Feb 18 • ブログ • 366 Views • No Comments

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この日やっと富士山に向かって自転車をこぎ始めました。もちろん飛行機や新幹線からは何度も拝んだ事はありますが、今回は違います。もっとずっと近くで見るのが念願でしたから。日本人なら誰しも、電車から見えるその30秒間でさえ富士山を眺めるのが好きだと言っても過言ではないはず。雪をかぶった左右対称の美は、世界中に知られる日本の代表的な姿であり、歴史的な絵画にも多く登場します。緩やかなカーブの「末広がり」は終わりない繁栄の象徴。とかかっこいいこと言ってるだけなら楽なんですけど、この縁起のいい曲線美が、後に私の膝と背中を苦しめる事になった訳で・・・。

私のこれまでの写真で分かったのは、日本の美しい景色にはこの国の誇る豊富な水の存在が欠かせないということです。この「白糸の滝」もそういった絶景の一つでした。せっかく滝の看板を見つけたので、そこからどれくらい距離があるのかも知らずに迂回して更に自然の中へ。暑さと登りの中(この時は初夏)、ちょっと木陰で休憩して、富士市の小さなホテルの奥さんから頂いたオレンジをつまむことに。

パニアバッグの中からオレンジを取り出すと、あることに気づいて笑顔になりました。厚い皮を手で剥きやすいようにと、十字の切れ目が入れてあったのです。なんて優しくて思いやりのある行為なんだろう。幸せな人生って、こんなに小さい事も含め、たくさんの良心と優しい行為が蓄積されて存在するんだと改めて思いました。そして何より、この細やかな心遣いは、実に日本人らしい。海外に住んでいた時は、一度もこんなことをする人に出会った事はありません。りんごの皮だって剥く人はまずいなかったし、丸かじりが当たり前。アメリカで働いていた時、オフィスに皮をむいて一口サイズに切ったりんごを持参したら、同僚に驚かれたこともありました。(そして食べやすいと好評でしたよ!笑)

自転車の話に戻りますが、上り坂って、実際の距離よりもずっっっと長く感じませんか。もう終わりだろうと思ったその瞬間、重い荷物を積んだ自転車と私の前にまたしれじれと現れる坂。幾度とないこの経験をふまえ、旅の途中のいつからか、「あぁ・・」とガックリきた時の声を出すのをやめにしました。代わりにそのため息に消費される負のエネルギーを使って前に進んだ方がよっぽどマシ。きっとその分早くゴールにたどり着くはず(・・と思いたかった)!

きれいな滝?スバラシイ。

汗だくのチャリダー?ハラペコ。

水ある所には魚あり(多分ね)。

上り坂で汗をかいた後にピッタリだったのが塩の利いたこのヤマメ!アツアツ出来立て、身がふわふわの焼き魚を片手に、本当は冷たいビールをグイッと・・・いきたいところでしたがここは我慢。まだこの先が長い一日でしたしね。(もちろん飲酒運転になるのは言うまでもなく)

やまめ

ビールの代わりに、シュワっとおいしいラムネを購入。これがまた、日本にしかない独特の瓶の形で、飲んでいる時に中のビー玉がカランカラン言って楽しいですよね。子供の時は飲み方のコツをつかむのが難しかったものです。いま知ったのですが、ラムネって元々イギリスからこの瓶と共にもたらされた「レモネード」がなまった名前だそうです。今となってはこの瓶も日本でしか作られていないので、珍しいと喜ぶ外国人も多いのです。(ラムネについて詳しくはこちらこちら

Ramune ラムネ

この日の始めは富士山が完全に雲の中に隠れていたので、右を何度も振り向きながら、ひょっとしたら見れないかもしれないなーと思っていました。実際、わざわざ海外からここまで来て全然富士山を見れずに帰ったというかわいそうな人も。でもこの日は私の願いが届いたのか、ご機嫌な富士山が顔を出してくれました。ラッキー!

Mt Fuji 富士山

あ〜本当に優雅で、美しいの一言!

Mt Fuji 富士山

マイチャリのさくらとお揃いカラーのこけももソフトを、朝霧高原の絶景の中いただきまーす!

Kokemomo (cowberry) ice cream in Asagirikogen Highlands by Mt Fuji. Same colour as my bike! 朝霧高原でこけももソフト~!自転車と同じ色だ。

富士山の周りは、富士五湖と言われる、絶景を作り出す湖があります。これがその一つ目だった本栖湖。

この日は急な坂こそなかったものの、とにかく一日中、永遠にダラダラ登りでした。しかも、平坦に見えるのにやっぱりちょっと登りだったりして、なんでスピードが出ないんだ!?と混乱しながら少しずつ前進。

Cycling around Mt Fuji 富士山の周りをサイクリング

富士山は静岡と山梨の境目のちょうど真ん中に座っているのは言わずと知れた事ですけど、静岡側から出発した私はこの晩、山梨のほうとう鍋を食べる事ができました。ここまでで、沖縄そば、讃岐うどん、名古屋のきしめん、そしてほうとう鍋と、だんだん麺の幅が太くなってきました。まるでイタリアの色んな種類のパスタみたいですね。

今でこそ蟹や肉の入ったほうとうがありますが、元祖はカボチャの入ったものだそうで、汁は味噌ベース。メニューに書いてあったところでは、ほうとうはもともと中国のお坊さんからもたらされたそうです。そんなことを読んでいたまさにその時、なんと私の座っていた囲炉裏のテーブルに、中国から来た尼僧の方々がほうとうを食べにやってきました。まったくの偶然です。何世紀前にもたらされた時も全く同じ味だったかは分からないけれど、とても暖かくて美味しくて、なによりお腹が本当に一杯になりました。冬の食べ物かもしれませんが、標高1000メートル近いヒンヤリした場所で一日を終えるのには、最高の晩ご飯でした。

Houtou noodle pot ほうとう鍋

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