90-91日目 逆さ富士と巨大白鳥の湖
自転車で富士山の近くを走りに行きたいという思いには、一つ大きな理由がありました。それは、「逆さ富士」を見てみたい!ということ。富士山にはたくさんの呼び名がありますよね、表富士、裏富士、ダイヤモンド富士、赤富士などなど。その中でも特に、以前「逆さ富士」の写真を見た時に、これは絶対見てみたい、とずっと思っていたのです。簡単なようでいて、湖の水面に波が立たず、気象条件が揃わないと見れないということは、現地に着いてから知ったんですけどね。
目が覚めてから河口湖の橋を歩いて渡り、早朝の富士山を眺めに行きました。このかすれた姿がまた完璧で、まるで目の前一面が大きな水彩画のよう。青空でもなく、くっきりとした山の線が見える訳でもなかったけれど、このほんわりした優しい立ち姿は、実に女性的で美しいと思いませんか。
上機嫌の富士山に出会えただけでなく、風も私の朝の散歩が終わるまで待っていてくれたようです。この20分後には、もう鏡のように湖に映し出された富士山は見えなくなりました。
幻想的な富士山から、これまた西洋の人には現実とは受け入れがたい物をここで一つ。それはやきそばパン。麺がパンにサンドイッチされているという、向こうの人にとっては奇妙な発想に感じるこの食べ物が、私の朝ご飯でした。スパゲティーをパンに挟んだりは絶対しないから、ってところでしょうね。
緑の街道をグイグイ登って行く愛車のサクラと私です。
湖の向こう側の、雲の中にいるのが富士山です。とうとう隠れてしまいましたが、白鳥達は山中湖に出てきていました。
きれいな白鳥達を眺めていたその時、湖の遠く向こうから、何かが段々近づいてくるのが見えました。
あれはまさか・・・?
やっぱり!?
巨大な白鳥の船!
これはそんじょそこらにある二人乗りのあひるボートではない。そしてこの風景はまさに、日本。
若葉のトンネルに囲まれると、上り坂でも気持ちいい。
この日、自己最高記録の時速57kmで坂を下り、アドレナリン放出しまくりの後に川辺で少々休憩しました。そこにカッパの石像が。日本の妖怪の中でも、一番身近なのがカッパのような気がします。子供達が溺れないようにという昔の人達の工夫だったのかもしれませんが、川で泳ぐ時にはカッパに引きずり込まれないように気をつけろと聞いたことがありますよね。
水辺には妖怪だけでなく、鮮やかな紫や黄色の菖蒲も咲き誇っていました。
東京や大阪などの大都市のみを観光する外国人は、まだまだ日本の良さを知っているとは言いがたく、それは都会に暮らす日本人でも忘れがちな所かもしれません。しーんと静かな山間の田んぼの横を、うぐいす等の鳥の鳴き声を聞きながらサイクリングするのは、それはもう最高の一時でした。日本には登山のできる山が数えきれないほどあることはよく知られておらず、その後の至極の楽しみの温泉は、海外からの旅行者にとってはエキゾチックで素晴らしい魅力です。
水田の足跡で心温まる一時。
この集落はまるで昔話の一ページのようです。
神奈川県相模原市に突入し、天ぷらで一日が終わりました。とうとう関東エリアに入ったこの日。ここまでたったの3ヶ月で着きました。(笑) 私が沖縄から自転車で来れたんですよ。健康なら誰にだって、自転車に乗る事ができるってことです。
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