39-40日目 絶対ひとりぼっちにならない佐賀

Jun 2 • ブログ • 129 Views • No Comments

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人生では、次々と物事が起き続ける日があるものです。この日、武雄市から佐賀市に向かっていた日がまさにそうで、一人旅なのに全然一人ぼっちじゃないすごい一日でした。

佐賀市へと向けて出発する自転車の準備をしていたら、旅館の方が袋一杯に入った金柑を渡して下さいました。ビタミンCがいっぱい入ってるから、日焼けした肌にもとてもいいよ、言って下さる優しい思いやり。口の中でジュワッとはじけるのが心地いい、甘酸っぱくおいしい金柑を食べながらの出発です。

出発してちょっとしてから、自転車の荷台に問題が発生してしまいました。道の横に自転車を置き、荷物を取って、修理らしき事を開始。するとすぐそこにあった家からおじさんと奥さんが出てきて、パンクでもしたの?と様子を見にやってきてくれました。私では力が足りなくて四苦八苦していた荷台を上げて、ねじを閉めるのを手伝って下さいました。

問題解決してその場を去った後、信号待ちをしていたら、一台の車が突然私にクラクションを鳴らしてきました。助手席の窓がスーっと下がると、それは先ほど手伝って下さったご夫婦でした。開いた窓から奥さんが、「がんばってね」と言って紙袋を渡して下さって、私がお礼を言うと、サーッと行ってしまいました。

突然起こったこの出来事の後、紙袋を片手に、もう片方に自転車を握ってしばらくポカンと立つ私。袋の中をのぞいてみると、そこにはいろんな素敵なお菓子が入っていました。私の一日が始まって30分の間に既に起こった事にびっくりしながらお菓子の袋を後ろの荷物に詰めます。

美しい春の麦畑を横に自転車で走っていると、前日の武雄のいちごマンからツイッターでメッセージが送られてきました。いちごマンの奥さんのお父さんの豆腐屋さんが佐賀市にあるから、そこに寄ってみたらどう?ということでした。時間もたっぷりあったし、ぜひ、と答えると、佐賀市のもう一人のツイッターの方もその豆腐屋さんに向かいますということになり、あっという間に目的地の佐賀市で待ち合わせになりました。

豆腐屋さんに向かっている途中に橋を渡っていると、橋の向こう側から、笑顔でこちらに手を振る50代前後のおじさんがいるではないですか。周りに誰もいないので、どう考えても私に手を振っているとしか考えられません。こっちこっち、と一生懸命手を振るおじさん。

「日本縦断中」という私の自転車の後ろに引っ付けてある段ボールを切れ端を見て、そのおじさんが15年前に泊めて上げたサイクリストの事を懐かしく思い出したとのこと。とても嬉しそうに私にその時のことを話すおじさんと橋でおしゃべりした後、ボスの缶コーヒーを一本いただいてしまいました。どんどん自転車の荷物がいっぱいになっていく・・・。

佐賀市の「こだわり豆腐」さんに着いて、そのオーナーさんとツイッターの古川さんにご挨拶。その豆腐屋さんでカフェオレを3人で飲みながら豆のことや旅のことを話していたら、今度はそこの手作りのお豆腐を三丁頂いてしまいました。

でもさすがに、水がたっぷり入った豆腐のパックは自転車の鞄には詰められません。すると古川さんが、家に奥さんがいちごを冷やしていますから来て下さい、と誘って下さいました。予想できない展開が立て続けに起こり続けるこの一日。豆腐を積んだ古川さんのバイクの後ろを20分間、全速力で自転車で追いかける佐賀の午後。

到着すると、温かい奥さんと古川さんのお母さんに和菓子とお茶で迎えられました。和菓子は、世界のお菓子の中でも例に見ないほど季節感を大事にする食べ物で、この桜色の春を告げるお菓子なども、国外からの方が見たらとてもきれいだと喜ばれると思います。季節限定のお菓子などが色々出るのも、日本特有な文化のように思います。この日の午前中は、古川さんの息子さんの結納返しの日だったそうで、そのおめでたい行事のために和菓子があったところへたまたま私が舞い込んできたのでした。

和菓子と一緒に冷たい苺とコンデンスミルクも出され、全速力で走った後だったこともあり、笑顔でありがたく頂きました。

その上に、おばあちゃんが用意して下さった杏仁豆腐とみかんまで頂いてしまいました。

もらってばかりでは悪いので、さっきの金柑をどうぞ、と。:)

お茶を頂きながらおしゃべりしていたら、晩ご飯はどうするんですか、と聞かれました。その日泊まる予定になっていたお宅のご夫婦は仕事でもう少し後まで戻ってこないことになっていたので、夕食の予定は特にないです、と答えると、ここで食べて行ってくださいと言われて、頂いてばかりのその日の私。

古川さんの奥さんが、さっきの豆腐で湯豆腐を作って下さいました。それに豚カツまで。信じられますかこのご馳走、本当にさっきまで会った事もなかったんですよ。

いちごマンの奥さんのお父さんが作った新鮮でぷるぷるのお豆腐が、古川夫人の手で昆布と一緒にあっという間においしい湯豆腐へと変身。

おいしいご飯と素敵な午後を過ごさせて頂いたお礼を言うと、なんとその晩お世話になるお宅まで、夜道を車で先導してくださいました。本当に一日中、ほとんど一人になることがなかったすごい日。

古川さんのお宅からたまたま結構近くだった、ボビーさんとゆりさん夫婦のアパートに到着。このご夫婦とは、カウチサーフィング(旅人を泊めますと登録することができるウェブサイト)を使って知り合いになっていました。

ボビージュードーさんは、料理人であり佐賀のローカルテレビのレポーターでもあるという、フロリダ出身のアメリカ人。その彼が、仕事から帰ってきた後に晩ご飯を作っていました。既にボリュームたっぷりの夕食を済ませていた私にまで、ちょこっとご飯を出して下さいました。とてもきれいでおいしいご飯!そして自分の食欲に驚く。

食べ終わった後、ボビーさんとゆりさんが、私をどうしても連れて行きたい場所があると言い出しました。その時もう夜の9時。

「え、今から?どこに???」

ボビーさんがバイトで料理をしているというすぐ近所にある焼鳥屋、「海賊」さんへどうしても連れて行きたいとのこと。そこのマスターがなんと65歳のトライアスリートで、「サチさんがうちに来るってマスターに言ったんですよ。ぜひ会わせたい!」ということで、3人で海賊さんへと向かいました。

あの腕を見て!この人が65歳だなんて信じられない!

春にはかかせない筍が、二種類の美味しい味付けで出されました。

串に刺さった佐賀牛もごちそうになっちゃいました!柔らかくっておーいしーい!!(そしてこれ、この日三度目の晩ご飯・・・)

日本では、飲み物を注ぎ合ったり、目上の人にどうぞと注ぐのは当たり前のことですが、この礼儀は西洋には見られません。流暢な日本語を佐賀弁で敬語までペラペラに話し、日本独特の文化を完璧にマスターしているボビーさんに、すっかり感心してしまいました。

これらの事が全て一日の間に起きた佐賀市。思い返すとなんだか信じられない一日です。知り合いが一人もいない土地へ自転車で行っただけなのに、こんなにも素晴らしい事が立て続けに起こったって、信じられますか?!

もちろん、毎日こんなことが起こる訳ではありません。特に面白い事もなく終わっていく日もたくさんある訳ですけれども、でも自分の扉を大きく開いてその向こうから入ってくることを受け入れながら、自分の足も一歩踏み出してみると、何も期待していなくとも色んな事が入り続けてくるのです。

人生の「冒険(アドベンチャー)」の定義は、自分をどんな過酷な状況に投げ入れるかということではありません。私の良き友人が最近私に言いました。

「冒険・アドベンチャーとは、繰り返される普段のパターンから抜け出すことだ」と。

それは本当で、そうした時には必ず、何か新しいことやワクワクすることが起こるものです。この自転車の旅も、出発の直前にはあんなに具合が悪くなる程怖くなっていたのに、今となっては人生で忘れる事ができない素晴らしい思い出が、みなさんに伝えられない程本当にたくさん起こっています。みなさんは、最近アドベンチャーに出かけていますか?それは半日でもいいんです。あなたの冒険は何ですか?私のは、母国の日本を自転車で駆け巡る事。今の所は、ね。

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